新日本プロレスの実質的オーナーであるアントニオ猪木が激怒しダメ出しをした今回の東京ドーム大会。観客動員数が4万7千人と東京ドームでのワースト記録を樹立してしまった。ホーガンの日本復活、坂口の再登場、新日本マットで初のパンクラス選手権やUCルールの総合格闘技の試合、ボブ・サップの参戦など話題はあったのだが・・・
メインは珍しい10人タッグイリミネーションマッチ。猪木は観ずに帰ってしまったというこのメイン。真猪木軍のメンバーにはボブ・サップ、パンクラスミッションの鈴木、寝返った中邑も加えある意味新鮮なメンバー。皆、少なからず総合の試合を経験している。プロレスでいうところのグリーンボーイの中邑でさえ既に3戦以上経験している。対する新日本軍は無理やり現役復帰した坂口を筆頭に永田と中西が総合を1試合ずつ経験しているものの純プロレス路線の選手達。総合経験者vs純プロレスラー的なプロレスの試合で総合経験者チームが二人残して快勝した結果は何を意味するのだろうか。しかも、前々日にK-1の試合を行っているボブ・サップが大暴れ。これで良いのか新日本と猪木でなくても言いたくなるような展開。
セミは負けても輝くミスター新日本の蝶野とオールドプロレスファン及びアメプロファンには馴染みのあるホーガンの一騎打ち。全盛期の迫力はないもののホーガンがアックスボンバーで蝶野を沈め、日本市場復帰戦を勝利で飾った。しかし、ここでも元世界的スーパースターながら50歳にもなったホーガンに頼ってしまう状況は考えものと言える。
新日本のリングで初のパンクラスのタイトルマッチは新日本所属でありながらパンクラス無差別級王者のバーネットをヘビー級王者の高橋がパンチで追い詰めたが、バーネットが高橋を三角絞めに捕らえギブアップ勝ち。完璧な防衛を果たした。Ultimate Crushルールでモンゴルの刺客を迎え撃ったパンクラスの渋谷はチョークスリーパーで見事ギブアップ勝ち。元リングスの高阪も吉田秀彦をセコンドに従えて登場し、UCルールで柔術出身の巨人ヒカルドンを迎え撃った。ヒカルドンは以前ヒカルド・モラレスとしてロシアで行われたノールールの大きな大会で優勝し、日本でも今は無きリングスのリングで暴れた強豪選手。その体格差のあるヒカルドンの度重なる反則にも屈することなく攻め続け堂々の判定勝ち。
総合格闘技戦が定着しつつある新日本プロレスのリングでK-1ファイターのTAOがプロレスデビューを無事果たした。TAOはK-1ファイターといってもK-1のリングで新日本の中西にK-1ルールでKO勝ちをしているのみでこれと言ってK-1でキャリアがあるわけでもなくまだはっきりと方向性が決まっていなかった選手。キャラ的にはK-1よりプロレス向きとも言えるが、プロレスラー兼ファイターとして広く活躍することを期待する。