新日本プロレスの現場最高責任者でT2000の総師でもある蝶野正洋の呼び掛けに対し、プロレスリング・ノアの社長でトップ選手でもある三沢光晴の答えは「ノア旗揚げ以来、2年間の戦いの激しさは30周年を迎えた新日本プロレスの歴史以上のものであるということをリングで示すべく“自分が出る時”と感じている」だった。この三沢からの挑発的なOKサインを書面で受けた蝶野はトップ対決を電撃決定。「プロレス界のために何かを残したかった。テレビ局との絡みなど色々と問題は残っているが、こういう形で(三沢が)対応してくれてうれしい」と新日本プロレス30周年記念東京ドーム大会の全責任を猪木から任されている蝶野は素直に喜んだ。
30周年記念に相応しい歴史的対決。新日本と全日本とが冷戦時代だった頃には全く考えられなかったトップ対決。三沢と同世代の蝶野は年齢的なものや多種な条件からも「今しかない」と決断、努力が実った形。しかし、実際に戦うレスラーとしての蝶野は「ホームグランドでの戦いで精神的にもこちらが有利。負ける気などサラサラない。」とプロデューサー蝶野はレスラーモードに突入していく。
この歴史的対決の大きな問題のひとつはテレビ放映だ。新日本のバックにつくテレビ朝日が同大会をゴールデンタイム(19時ー20時48分)で生中継を予定している時間帯に、ノアのバックにつく日本テレビが、サッカー日本代表のホンジュラス戦の生中継することが決まっており、日本テレビがこの熾烈な視聴率戦争の中、ライバル局のライバル生中継にノアの三沢を出すことを許す可能性は低いと言わざるおえない。「日テレのサッカーのハーフタイムの間に放送する」など無理矢理な案も挙がっているが現時点では残念ながらノーTVマッチになる可能性が高い。この歴史的トップ対決は東京ドームに行った人しか観れないかもしれない。