PRIDE RINGS
2.24 PRIDE19 さいたまスーパーアリーナ大会 シウバ、元リングス田村を完全KO。ノゲイラもエンセンを絞首葬。


K-1に続き、PRIDEも完全な外国人天国と化した。ヘビー級王者のアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとミドル級王者のヴァンダレイ・シウバの政権はしばらく続きそうな気配だ。この二人の王者を攻略するのは一体誰なのか。日本人選手が王者になることは出来るのか。ヘビー級では思い当たる日本人選手はいない。強いてあげればアキレス腱断裂で休場している藤田和之に期待するが、アマレスをベースにする藤田と同タイプの元王者マーク・コールマンがノゲイラに完敗しており藤田がノゲイラを攻略するイメージは今のところ湧き難い。又、PRIDEに来るかどうかはわからないが先日、活動休止になったリングスの高阪剛はUFCへの参戦経験もありテクニシャン系なので面白い試合が展開できるかも知れない。そして、このPRIDEを主催するDSEとの関係が最悪で参戦の可能性は低いが小川直也の存在も忘れられない。最近はプロレスに専念しようとしている感もあるが、体格、柔道の実績、技術、才能のどれをとっても一級品で選手としてもピークに来ている小川には是非PRIDEに戻ってきて欲しいものだ。もし、ノゲイラ戦が実現すれば正に世界レベルの柔術VS柔道対決になり好勝負必死だ。

ミドル級では、今回、田村潔司が玉砕し、桜庭は2連敗中で復帰の時期も見えない中、パンクラスからグラバカの大将であり、寝技世界一を決めるアブダビ・コンバット2001年87キロ級王者で現パンクラス ライトヘビー級王者の菊田早苗とその菊田とパンクラスのリングで敗れたものの激闘を展開した美濃輪育久の4.28 PRIDE20 横浜アリーナ大会参戦が内定しており、この二人がミドル級戦線を活発化するのは間違いない。特に菊田は前述の実績もあり、いきなりシウバの王座に挑戦する資格は充分。アブダビやパンクラスの王者である菊田自身も「ヒクソンでも、ヴァンダレイでも、ミルコでも強い選手」との対戦を希望。格闘技界の3冠王者誕生する可能性はある。パンクラスはこの二人以外にもPRIDEのミドル級に近いライトヘビー級日本人選手の宝庫だ。そして、PRIDEに参戦するかどうかは未だ定かではないがパンクラス本隊のエースの近藤や元リングスの金原弘光もミドル級戦線に加われば尚おもしろい。


第8試合 PRIDEミドル級選手権 1R10分、2R・3R5分
ブラジル シュート・ボクセ・アカデミー所属
王者
2R 2分28秒 日本 U-FILE CAMP所属
挑戦者
元リングス無差別級王者
ヴァンダレイ・シウバ
KO
(右ストレート)
田村 潔司

他のリングでの今までの実績をかわれてPRIDE初登場でタイトル挑戦というチャンスをもらった田村だったが試合前から「勝つイメージが湧いてこない。怖くてよく眠れない。」と弱気な発言が目立っていた。同時に「すごく勝ちたい。」と王者になってPRIDEを田村色に変えたいという欲望も持ち合わせていたが見事に打ち砕かれた。

打撃を得意とするシウバに打撃で渡り合おうとする田村だが序盤で上のポジションをとられ苦戦する。徐々にパンチを喰らい鼻から大量に流血する田村。2Rには田村の左カウンターがシウバを捕らえたが2分過ぎパンチを打ち合う中、田村の左ガードが開いたところへシウバの右が顔面に決まり後ろに倒れる田村。倒れた田村になおも襲い掛かるシウバをレフェリーが止めた。シウバも右目じりを3針縫う裂傷を負ったが田村は顔面をボコボコにされシウバの完勝。タオルを頭からかぶりうつむいて退場する田村はその後もノーコメントで会場を後にした。勝ったシウバは「途中、バッティングがあり意識が飛びかけたが、それ以外は大丈夫だった。田村はパンチもキックも強くいい選手だった。」と余裕を見せた。

約10ヶ月のブランクからの復帰戦がいきなり対シウバという厳しい戦いに敗れた田村だが、是非今後も続けてPRIDEのリングに上がって欲しいものだ。シウバはPRIDEでは無効試合を一試合だけ挟むが無傷の10連勝。誰がシウバを止めるのか。

「龍虎対決ドラタイ」としてはK-1の”プロレスラーキラー”ことミルコ・クロコップとシウバの対戦を強く希望する。ミルコはもちろん打撃のエキスパートでタックルを切るなどグランドにも対処できるようになってきており、打撃を中心に戦うトータルファイターとしてはシウバとタイプが似ており激戦は必死だが、実現の可能性はわからない。しかし、自分の得意とする打撃のエキスパートを相手にシウバがどんな戦いをみせるか興味は尽きない。


第7試合 ノンタイトル ヘビー級戦 1R10分、2R・3R5分
ブラジル ブラジリアン・トップ・チーム所属
PRIDEヘビー級王者
1R 6分17秒 米国 PUREBRED大宮所属
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
TKO

(三角絞め)
エンセン井上

昨年のニューヨークを中心とした米国中枢同時テロで友人を失ったエンセンは米軍入隊かNYでのボランティア活動参加を考えているという。その前にPRIDEと応援してくれたファンへのお礼をこめて一夜限りの復帰を決意したエンセン。相手は現在、最強の王者ノゲイラ。初めてハワイに住む親を試合に呼び、タイトルはかかっていないがエンセンにとっても最高最後の花道だ。ブラジリアン柔術の黒帯で現UFCヘビー級王者のランディ・クートゥアも以前破ったことがあるエンセンだが、一度引退を決意した選手が復帰するのは大変なこと。しかも相手はノゲイラ。ノゲイラはエンセンをテイクダウンし、アームロックや首固めをきめるが大和魂でギブアップしないエンセン。ノゲイラは「エンセンに怪我をさせたくないから」と絞め技へ戦術を変更。三角絞めをきめてギブアップしないエンセンを失神させ試合を終わらせた。負けたエンセンは「ノゲイラは強かった。ノゲイラの寝技は世界一だ。」と勝者を絶賛した。

勝ったノゲイラは「今度はK-1ルールで戦いたい。自分が打撃でどれほど出来るのか試したい。」と驚き発言。「ハント?いいね。」とあくまでK-1のトップ選手とK-1ルールで戦いたいという。事の発端は昨年大晦日の猪木祭り2においての猪木軍VSK-1軍に猪木軍として出場を希望したノゲイラだったが、あまりに強いノゲイラの出場をK-1サイドが拒否したことによるようだ。「ノールール系の試合ではK-1側が受けないだろうから」と自分がK-1ルールのリングに上がるというノゲイラ。王者の地位に甘んじず、新しく危険な試合にもチャレンジするノゲイラに脱帽だ。次のタイトル挑戦者と目されるセーム・シュルト相手にも自信を見せた。


第6試合 1R10分、2R・3R5分
米国 T-2000所属
元UFC王者
3R終了時 米国 ライオンズ・デン所属
元パンクラス王者
ドン・フライ
判定

2-1
ケン・シャムロック

ふたりの遺恨は5年以上前にさかのぼる。米国のノールールの老舗UFCで活躍していた両者はトップ対決を熱望されていたが実現しなかった。罵倒しあい犬猿の仲の二人はその後それぞれプロレスの世界に入り、交わることはなかったが偶然と言うべきか因縁と言うべきか二人は時を同じくしてPRIDEというノールールの世界に戻ってきた。当時、米国で熱望されたドリームマッチが遂に実現した。米国や日本での記者会見では乱闘騒ぎを繰り返した両者は凄惨な試合を予告したが、そこはさすが一流ファイターの二人はしっかりとした試合に終始した。

立ち技では若干有利に展開するフライ。組みながらのボディーブローなどでシャムロックを攻め立てる。しかし、寝技になると今度はシャムロックが有利。再三、ヒールホールドでフライをギブアップ寸前まで追い込む。何とか逃れるフライ。2Rはスタンドのこう着状態が続き終了。3Rには勝負をかける両者は殴り合う。フライはパンチで打ち勝ちシャムロックからダウンを奪う。そして、マウントをとったフライはシャムロックにパンチを落とし、追い込む。しかし、一瞬の隙を突いてシャムロックがフライに再度ヒールホールドを仕掛け、フライもヒールを狙いそのまま終了のゴング。3R、マウントパンチで追い込んだフライが2-1のスプリット判定で勝利。試合後、勝ったフライは「すばらしい試合ができた。ケン(シャムロック)のことは今まで悪く言ってきたが戦ってみて素晴らし選手だというのがわかった。すまなかった。」といがみ合ったことに謝罪し和解を宣言した。


第5試合  1R10分、2R・3R5分
米国 ゴールデン・グローリー所属 3R終了時 ウクライナ フリー
ヒース・ヒーリング
判定

3-0
イゴール・ボブチャンチン

これも非常に豪華なカード。打撃に自信のある両者だけにお互い警戒したか、1Rからグランドの試合を展開する。巧みなグランドの攻防。2Rにはサイドポジションをとったボブチャンチンがヒーリングのボディーに膝蹴りを入れるが攻めきれず試合は3Rへ。両者互角かややボブチャンチン優勢といった感じだったが3Rはインガードの状態からヒーリングがパンチを落とす。ヒーリングも攻めきれないがボブチャンチンが消極として注意1。これが響いたかヒーリングの判定勝ち。負けたボブチャンチンは「寝技もたくさん練習しヒーリング戦が決まってから打撃も練習したが、身長差と体重差が響いた。」と肩を落とした。勝ったヒーリングは「どこまで打撃でいけるか試してみた。」と自信をみせた。


第4試合 1R10分、2R・3R5分
英領バージン諸島 ローニン所属
1R 7分16秒 ブラジル シュート・ボクセ・アカデミー所属
カーロス・ニュートン
ギブアップ

(腕ひしぎ逆十字固め)
ペレ

日本大好き”褐色のサムライ”カーロス・ニュートンがあのシウバやムリーロ・ニンジャらが尊敬するシュート・ボクセの隊長ことペレを仕留めた。両者、高度な技の応酬で観衆を魅了する。ニュートンの関節技から逃れるペレとペレの打撃をかわすニュートン。一進一退だが2度目の腕十字をニュートンがペレにきめてギブアップ勝ち。試合後、リング上から流暢な日本語でアピールし、会場の大歓声を呼んだ。中量級では世界のトップクラスと呼び名の高いペレはPRIDEでは未だ調子が出ておらずもったいない。ニュートンは風貌といい、キャラといい、技術といい、日本でスター選手になる素質充分で今後も楽しみな選手だ。


第3試合 1R10分、2R・3R5分
ブラジル グレイシー・バッハ・アカデミー所属 3R 0分28秒 日本 高田道場所属
ホドリゴ・グレイシー
ギブアップ

(フロントチョークスリーパー)
松井 大二郎

久々に新しいグレイシー戦士が登場した。ヘンゾやハイアンのいとこにあたるホドリゴはバーリ・トゥードは2戦目ながらハイアンより凶暴で危ないとの評判。ノールール系の経験では大きく勝る松井だったが松井曰く「たまたまはいってしまった」フロントチョークでギブアップ。


第2試合 1R10分、2R・3R5分
米国 IFアカデミー所属
3R終了時 ブラジル カーウソン・グレイシーチーム所属
アレックス・スティーブリング
判定

3-0
ヴァリッジ・イズマイウ



第1試合 1R10分、2R・3R5分
米国 rAwチーム所属
1R 2分35秒 米国 チーム・オバケ所属
トム・エリクソン
ギブアップ

(チョークスリーパー)
ティム・カタルフォ