シウバとの激闘では肩を潰し、ミルコ戦では眼か底骨折の重傷を負った桜庭。不運な負傷により敗戦が続いている日本のエース・桜庭は今回も眼か底骨折が完治していない状況で、恩師・高田の引退に花を添えるためリングに上がった。その上、試合後わかったことだが試合一週間前にひざの靭帯を断裂していたことも判明。満身創痍の桜庭はそれでもメインのリングに立ち、K-1の「バトル・サイボーグ」ジェロム・レ・バンナが送り込んできた刺客を圧倒した。
バンナから打撃の指導を受けているはずのアーセンを桜庭はパンチで追い詰める。グランドになっても防戦一方のアーセンにてこずったが最後はきっちり腕ひしぎでタップを奪い完勝。体調的には復活とは言えないが、確かに高田からバトンを受け取った。

1993年以来、2度目であり最後の対決に臨んだ両者の間には師弟関係と同時に軋轢があった。会社の為も含め現実的な道を選んだ高田に対し、理想を追い求めた田村との間には深い溝ができた。95年に田村が高田に対し「ボクと真剣勝負をして下さい」と爆弾発言し、決裂は決定的なものとなり二人は袂を分けた。
お互い思い入れが強かっただけに、このままでは終われず最後の最後に再びクロスオーバーした。
ついに再戦する二人。高田の右足にローを叩き込んでいく田村。途中、田村のローが高田の金的に入り、試合中断。「プライドのグラブでは薄すぎて高田さんの顔を殴れない」と自身のジムであるU-FILE CAMPで使っている拳のところが厚めになっているグラブの使用をプライド側に要求し、採用されたにも関わらず、高田の顔を殴れない田村。グランドで上のポジションを取っても顔を殴れないどころか、高田の顔も見られない。しかし、それを察知してか、田村のローを嫌がってか２Ｒに入り高田がパンチで入ってきたところに田村の反射的に出したカウンターの右フックが高田のアゴを見事に捕らえ、高田ダウン。カウントを待たずにレフェリーが試合を止めた。
「意識が戻った時、ラウンドの合間だと思った」と完全KOされた高田に対し田村は複雑な思いから顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。「高田さん、本当に有難うございました。そして、色々とご迷惑をお掛けしてすみませんでした。」と思いを伝えた田村に対し高田も「田村、よく嫌な役目を受けてリングに上がってくれた。お前は男だ。ありがとう。」と長年引きずって来たものを清算し、師弟は最後に和解した。
高田はPRIDEのリングを立ち上げメジャーに育て、自分の役割を終えてリングを去った。今後、その高田の志、Uの遺伝子を受継いだ者たちがどう活躍するか期待したい。そして、プライドのリングで田村ＶＳ桜庭が実現するか楽しみである。

総合ルールでも柔道家は強かった。プライド初参戦の吉田の相手はノールールではほとんど負け無しの元UFCアルティメット王者のドン・フライ。フライはレスリングベースでありながら、ボクシングの経験も豊富でトータルファイター。そのフライを相手に柔道着を来た吉田がどう戦うのか、打撃に対応できるのかに注目されたが、フライのパンチを見切った吉田がタックルでフライをテイクダウン。ハーフガードからフライのバックを取った吉田は自分の袖を使った柔道では反則の技を使ってフライを絞め落しに行く。それを何とかしのいだフライが今度は上を取り、ハーブガードからパンチを入れていく。しかし、吉田は落ち着いて身体を密着させ、防御。そして、ジワジワとフライをグランドでコントロールする吉田はフライに腕十字を極めた。根性でギブアップしないフライは肘脱臼の疑い。
未だ本当の打撃戦は未経験ながらも吉田の総合格闘家としての潜在能力には本当に驚かされる。

プライド初出場でいきなり王座挑戦の金原は王者シウバに打撃戦を仕掛け、シウバのもちろんそれに応える。しかし、やはり打撃ではシウバが一枚上か、徐々に圧倒しはじめる。ぐらつく金原。グランドになってもシウバが上から殴ってくる。脱出し、スタンドになってもシウバの有利は変わらず、金原再びダウン気味に倒れシウバは容赦なくスタンドのまま蹴り、踏みつける。たまらず金原のセコンドがタオル投入で王者が3分強で勝負を決め、王座防衛。
試合後、「ミドル級に敵がいない。今度は吉田と戦いたい」と吉田を指名した。

パンクラスの無差別級王者でK-1のワールドＧＰ決勝トーナメントに出場予定の“大巨人”セーム・シュルトをプライドヘビー級王者のノゲイラがノンタイトル戦ながら迎え撃った。規格外の身体を持つシュルトを相手にしてもノゲイラは余裕の試合運び。既に規格外のボブ・サップを破っており、更に成長した王者がそこにいた。腕ひしぎから三角絞めをシュルトにガッチリ決めたノゲイラがタップを奪って完全勝利。「吉田と戦いたい。ベルトをかけてもいい」とシウバともども吉田との対決実現を主張した。

ヒョードルはどこまで強くなるのか。いやどこまで強いのか。リングスの最後の王者であり、ヘビー級及び無差別級王者の2冠王のヒョードルは前回プライドのリングで大巨人シュルトを判定ながら圧倒した実力者だ。今回は次期ヘビー級王座挑戦者決定戦ということで相手はあのノゲイラと互角の激闘を展開したことのあるヒーリング。
どちらが勝つか全くわからないと思われたこの対戦で、ヒーリングをテイクダウンしグランドで圧倒するヒョードル。なんと“暴れ馬”ヒーリングを１Ｒだけで痛めつけ、ドクターストップに追い込んだ。恐ろしい程の実力を見せつけたヒョードルがノゲイラの持つ王座に挑戦することが決定した。ノゲイラとヒョードルが対戦すれば最高のタイトルマッチになることは間違いない。

ノゲイラの所属するトップチームとシウバの所属するボクセのブラジルの両ジムの因縁対決。前回、トップチームのドンであるスペーヒーがボクセの新鋭ニンジャに判定で敗れ、そのリベンジにアブダビ王者でリングスのミドル級でもあったアローナが立ち上がった。勢いに乗る両者の対決は魂の戦いとなり、殺気立つものとなった。アローナがタックルでニンジャをテイクダウンし、上から攻め込み両ジムホープ対決を判定勝ちで制した。勝ったアローナはミドル級王者のシウバへの挑戦を表明。１勝１敗の星になった両ジムの対決は次のステージに進みそうだ。

全日本プロレス主催のＷ−１のプロレスのリングでも才能を見せつけた元UFC王者のランデルマンが高田の呼びかけに応えて急遽参戦を決定した山本を圧倒し、元UFCジャパン王者の山本を相手に王者の実力を久々に見せつけた。今後はプライドのリングでも王座を狙っていくという。

元リングスの“怪物くん”こと横井がプライド初参戦で初勝利を上げた。今だ、総合格闘技戦で負け無しである。今後も総合とプロレスを平行してやって行くという横井だが、総合格闘家としてのポテンシャルの高さを見せ付けられると、総合に専念して欲しいと思わせる。とにかく、横井は未来の日本人エース候補には間違いない。