K-1とPRIDEの双方のリングで本格的にK-1vsPRIDEの対抗戦の火蓋が切って落とされる。大晦日の猪木祭り2ではK-1vs猪木軍の全面対抗戦が実現したがプロレスラー対格闘家といったニュアンスが全面に押し出されていた。しかし、今回はK-1戦士対PRIDE戦士という図式でしかもPRIDEの選手がK-1のリングでK-1のルールで戦い、K-1の選手がPRIDEのリングでよりPRIDEのルールに近いもので戦うことになる。正に交流戦、正に対抗戦。お互いが自ら垣根を飛び越えて来るという勇気ある戦いだ。
まずは4.21 K-1広島大会にセーム・シュルト(オランダ)とニルソン・デ・カストロ(ブラジル)の参戦が決定している。シュルトはUFCにも参戦経験がありパンクラスの無差別級王者でもありPRIDEヘビー級タイトル次期挑戦者として名が挙がっている選手。しかも、大道塾空手の北斗旗大会での優勝経験もある打撃が得意な選手でK-1向きであり対戦相手の武蔵にとっては慣れたK-1ルールでの戦いだが脅威に違いない。武蔵にとっても意地の見せ所だ。その上、K-1のリングでPRIDE軍を迎え撃つその武蔵をかつての先輩にあたる佐竹雅昭が挑発する。佐竹は「武蔵のチョコチョコ手を出して判定で勝つとうとする戦い方はアマチュアだ。武蔵とノールールで戦ってみたい。」と宣戦布告。PRIDEのリングで大巨人シュルトと真っ向勝負を挑み轟沈した佐竹にとってそのシュルトとK-1のルールで戦う後輩に歯がゆさを感じているのかもしれない。しかも、佐竹がK-1のリングを離れるきっかけになったのが武蔵戦での判定が不満だったこともあり武蔵は佐竹にとって因縁の相手とも言える。
PRIDE戦士がK-1のリングに殴り込みをかけるわずか7日後の4.28 PRIDE 20 横浜大会に今度はK-1選手が殴りこむ。K-1 GP王者のマーク・ハントを破りK-1最強の名を欲しいままにしている“プロレスラーハンター“ミルコ・クロコップ、元極真戦士でアメリカのプロレスにも参戦したことがあるサム・グレコ、元WCWのプロレスラーで石井館長の隠し玉のボブ・サップの三人がPRIDEにあがることになっている。K-1軍大将格のミルコはいきなりPRIDEミドル級王者の“桜庭ハンター”ヴァンダレイ・シウバと対戦が決定。K-1も出し惜しみ無しならPRIDEも出し惜しみ無し。3分5RというK-1サイドの要求は受けそうだがグランドでの制限はPRIDE側としては受けがたい。PRIDEを主催するDSEの森下社長は「寝技が認められないようならば戦う意味がないので、PRIDEルールに近いものにしたい」とまったくのK-1ルールにシュルトらが挑戦するかわりにPRIDEのリングでの試合には寝技に制限の少ないものを主張する構えだ。体格はミルコが188センチ、97キロに対し、シウバは182センチ、92キロで体格差はあるがシウバはミドル級に入るために絞っており通常はミルコと同じくらいの体重だ。森下社長も「プロレスラーを次々と破ってきたミルコをPRIDEの選手で止めたい。シウバはきっと勝ってくれる。万が一があっても桜庭もいる。」と鼻息が荒い。
K-1vsPRIDEだけではない。4.28 PRIDE20にはパンクラスからもライトヘビー級王者の菊田と美濃輪の二人が参戦する可能性がある。ただし、美濃輪は強く対戦相手に希望していたミルコがシウバに取られた形で、しかも美濃輪自身がパンクラスの興行のメインでノールール系はデビュー戦の総合空手家と引き分けてしまいつまづいた感があるので今回の参戦は見送られる可能性が高い。菊田は対戦を希望したホイス・グレイシーは逃したが、違う対戦相手を立てて参戦する可能性は高い。現在、全方位外交を打ち出しているパンクラスはこれを皮切りにPRIDEに次々と選手送り込むことになりそうだ。
米国ノールール大会の元祖・UFCも日本市場への殴りこみを宣言しており、すでにWOWOWでの定期放送も決定している。日本でのUFC認知を高めるためにもPRIDEのリングへ選手を送り込むことも検討しており、PRIDEもそれを歓迎する姿勢だ。UFC王者とPRIDE王者の一騎打ちをぶち上げるなどかなり本気だ。そのUFCにパンクラスが選手を参戦させる話も進んでおり、各団体入り乱れてのボーダレスなバトルが展開されそうでファンにとってはたまらない状況だ。