K-1 KICK インディーズ
2.11 K-1ワールドMAX JAPAN GP熱戦続出。そして本命・魔裟斗が優勝。



遂に本格的な中量級最強決定トーナメントであるK-1 ワールドMAX 日本代表決定戦が国立代々木第二体育館で開催された。出場者決定当初、立ち技の中量級日本最強を決めるトーナメントにプロレスラーや総合格闘家の名が入っており疑問視する人もいたが、蓋を開けてみたら全試合熱戦に次ぐ熱戦。優勝は対抗の小比類巻を破った大本命の魔裟斗だったがプロレスラーの村浜や総合格闘家の須藤たちも大健闘し大いに盛り上がった。優勝した魔裟斗は5.3世界大会への出場権と優勝賞金500万円プラスKO賞30万x2回の計560万円を手にした。K-1ジェネラルプロデューサーの石井館長も「皆100%出し切ってすばらしかった。ヘビー級のグランプリを超えた。どんどん中量級をやりたくなった。家に帰ってテレビでも観る。」と絶賛し、予想以上の成功に驚いていた。



ルール: K-1トーナメントルール 3分3R 一回戦及び準決勝は2ノックダウン制、決勝は3ノックダウン制、延長は2回まで、メキシコ製8オンスのグローブ使用


第1試合 リザーブファイト 3分3R
WMCウェルター級王者
3R終了時 PHOENIX所属
小次郎
判定

3-0
隼人



トーナメント1回戦第1試合 3分3R
チーム・ドラゴン所属
3R 1分27秒 東京元気大学格闘部GGG所属
小比類巻 貴之
KO

(ローキック)
須藤 元気

総合格闘技で活躍する須藤は打撃のみの試合は初挑戦。対する小比類巻はISKA世界王者で魔裟斗と並ぶ今大会最有力優勝候補の一人。総合の試合でもトリッキーな動きで相手を翻弄する須藤はこのワールドMAXのリングでも変則的な動きをみせる。半身に構え、時には相手に背を向けてリング内を走り回ったりしながら小比類巻のロークックを回転しながら力をそらしその回転の勢いでバックブローを打ち込んでいく須藤。K-2でアーネスト・ホーストと死闘を繰り広げたマンソン・ギブソンの戦術を思い出させるような動きで、何とカウンターのバックブローを決め小比類巻からダウンをいきなり奪う須藤。騒然となる会場。しかし、何とか小比類巻、1Rを持ち堪える。1Rは須藤の変則戦法でかなりペースを狂わされた小比類巻だったが2Rからローキックでペースをつかみ始める。3Rにも小比類巻は執念深くローを打ち続け、動きの止まった須藤から2度のダウンを奪って逆転KO勝ち。


トーナメント1回戦第2試合 3分3R
BENEX所属 1R 2分28秒 全日本キック・SVGジム所属
大野 崇
KO

(左ハイキック)
新田 明臣

前回の対戦で大野にKO負けしている新田は大野に対し苦手意識があるのか。正道会館で空手を学び故アンディ・フグとスパーリングを積んでいたという大野は新田の右横のポジションから死角をついて左ハイキック一発。正道会館的な死角をついた上段回し蹴りをずばりアゴに喰らった新田は大の字でKO敗。新田のあごの骨は折れていたらしい。豪快に散った新田は「(大野選手には)2連敗。相性が悪いみたいだからもうやりたくない。」と肩を落とした。


トーナメント1回戦第3試合 3分3R
シルバーウルフ所属 3R 0分30秒 大阪プロレス所属
魔裟斗
KO

(右ストレート)
村浜 武洋

今大会参加者中、最低身長&最軽量の村浜は魔裟斗より2まわりほど小さく見える。しかし、スピードではナンバーワンの村浜は勝機ははインファイトにありとすばやいフットワークでヒットアンドアウェイ戦法を展開する。序盤戦、村浜のスピードについていけない様子の魔裟斗だったが徐々にタイミングを合わせ始める。途中、プロレスラーの意地を見せシャイニング・ウィザードを狙ったりと変幻自在の村浜だったが3R開始早々、村浜の動きを読んだ魔裟斗に得意の左フックで一度目のダウンを奪われ、立ち上がったところを連打で2度目のダウンを奪われ魔裟斗のKO勝ち。大会2ヶ月前に出場が決まり準備期間が限られる中、プロレス出場も継続し、しかも打撃のみの試合は3年ぶりという村浜だったが素晴らしい戦いを展開し、石井館長をもうならせた。


トーナメント1回戦第4試合 3分3R
STEALTH所属 2R 2分49秒 正道会館所属
後藤 龍治
KO

(右フック) 
安廣一哉

1R早々、安廣の右ストレートがカウンターで後藤に決まり、後藤ダウン。安廣がこのまま持っていくかと思われたが、”立ち技バーリ・トゥーダー”の異名を持つ百戦錬磨の後藤は粘る。2Rにはリズムを取り戻した後藤がパンチの連打で安廣を2度ダウンを奪い逆転勝ち。


トーナメント準決勝 第1試合 3分3R
チーム・ドラゴン 3R BENEC
小比類巻 貴之
判定

3−0 
大野 崇

1回戦で総合格闘家・須藤のトリッキーな戦法に大苦戦した小比類巻に対して、1RKOで上がってきた大野のダメージの度合いは対照的。やはり1Rは大野が押す。しかし、2Rからは小比類巻が”不屈の精神”を爆発させ猛反撃。取り付かれたように右ローを打ち続ける。大野のパンチも顔面に入っており、この時点で小比類巻は鼻を骨折していたようだがひるまない。そして、3R終了間際、小比類巻が執念の右ローで大野をダウンさせる。大野は脚がきいているようで判定になったが小比類巻に軍配が上がった。負けた大野は「(小比類巻は)ハートと蹴りが強かった。」と対戦相手を賞賛した。


トーナメント準決勝 第2試合 3分3R
シルバーフルフ 3R 2分52秒 STEALTH
魔裟斗
KO

(パンチ連打) 
後藤 龍治

激しい打ち合いを展開した両者。しかし、3Rには魔裟斗の連打が決まり後藤がダウン。たたみかける魔裟斗の連打を浴びながらも根性をみせ倒れない後藤だったが最後はスタンディング・ダウンでレフェリーストップ。敗れた後藤は「トーナメントは難しかったが勉強になった。」と前向きのコメント。



トーナメント決勝 3分3R
シルバーウルフ
3R終了時 チーム・ドラゴン
魔裟斗
判定

3-0
小比類巻 貴之

大方の予想通り本命・魔裟斗と対抗・小比類巻が決勝に駒を進めたが、両者予想外に苦戦を強いられており、特に小比類巻はかなりダメージと疲労がたまっている様子。対する魔裟斗は疲れは見えるものの今大会唯一ダウンを喰らっていない選手だけあってダメージはそれほどなさそうにみえる。両者様子を見合いながらもコンスタントに激しく打ち合う。ローを蹴る魔裟斗に対し即座に右ローを打ち返す小比類巻。しかし、小比類巻は攻め込んでいかない。ダメージでいけないのか。得意のハイキックもこの時点まで温存している様子。3Rもそろそろハイキックを繰り出すかと思われたが全然ださず、試合終了のゴング。アグレッシブに攻めた魔裟斗の判定勝ちに「延長だと思っていた」という小比類巻は呆然と立ち尽くす。後に小比類巻は「見過ぎた。アホなことをした。」と語った。リング上で魔裟斗は「しょっぱい試合になってしまいました。トーナメントではなくお互いダメージが無い状態でもう一度やりたい。」と石井館長に要求し、立ち尽くす決勝の相手を気遣ったようだがそれに応えて小比類巻は「(魔裟斗と)もう一度やって、必ずぶっ殺します」と過激な返事。それに対し魔裟斗も「負け犬の遠吠え。試合内容は圧倒的。これでもまだ俺はライバルと呼ばれるのかな?」と見下し、「(小比類巻の)精神的に弱いのが見えた」と痛いところを突いた。しかし、試合前黒崎道場で右ローキックしか練習しなかったという小比類巻は「なにかを掴めてきた」と次回への自信をみせた。