やはり、K-1には魔物が住んでいた。この日、東京ドームは7万4500人(主催者発表)というK-1の観客動員数の新記録を樹立する大観衆で埋め尽くされた。その大観衆が見守る中、1回戦から激闘が繰り広げられ、波乱が続出した。
注目のボブ・サップがなんと1回戦でリベンジに燃えるアーネスト・ホーストを返り討ちにし、辛勝したが右手中指骨折の疑いでリタイヤ。規定によりホーストが負けたにもかかわらず2回戦に進出。ここから3度王者に輝いた実力者の本領発揮だ。大本命だった今大会絶好調のジェロム・レ・バンナの左腕をキックで粉砕し、K-1史上初の四度目の優勝を果たした。
しかし、今回ホーストは1回戦で敗退しており、観客としては今ひとつ説得力がなかったとも言える。だが、1回戦でスタンディングダウンでレフェリーストップになった選手がそれから2戦し、共にKOで優勝したことを考えるとホーストの実力と精神力はさすがと言えよう。ホーストは間違いなく強い王者だ。そして、その王者を実際に1回戦でKOしているサップは間違いなく今後も台風の目となる。
トーナメント1回戦 第1試合 3分3R |
ニュージーランド アメリカンプレゼントボクシングジム所属 |
3R終了時 | オランダ メジロジム所属 |
レイ・セフォー |
判定 2−1 |
ピーター・アーツ |
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トーナメント1回戦 第2試合 3分3R |
米国 チーム・ビースト所属 |
2R 2分53秒 | オランダ ボスジム所属 |
ボブ・サップ |
KO スタンディング・ダウン |
アーネスト・ホースト |
今、世間が注目するサップが登場だ。対するホーストは3タイムチャンピオンの名にかけてリベンジに臨んだ。凄まじい激闘。試合開始早々、前回同様前進し襲い掛かるサップ。しかし、今回のホーストは慌てない。足を使い、時に押し返し、ピンポイントのローとレバー打ちを繰り出すホースト。サップの顔面にパンチを極めていくホースト。それでも、倒れないサップ。しかし、的確なホーストのボディーパンチがサップのレバーを捕らえる。 |
トーナメント1回戦 第3試合 3分3R |
ニュージーランド リバプール・キックボクシングジム所属 |
3R 1分16秒 | ドイツ ゴールデン・グローリー所属 |
マーク・ハント |
KO 左ストレート |
ステファン・レコ |
非常に動きの良いレコ。今回は体重を絞り、よく練習してきて切れ味のあるハント。序盤から激しくぶつかり合う両者だがお互い調子が良く、決定打を極めさせない。しかし、一発の破壊力に勝るハントがレコの右ストレートにクロスカウンターでフック気味の左ストレートをレコの顔面に叩き込み、ダウンを奪う。ハントの強烈なパンチがしかもカウンターで入れられたレコは立ち上がるが、ひざに力が入らず KO負け。ワンパンチでハントが仕留めた。 |
トーナメント1回戦 第4試合 3分3R |
フランス ボーアボエル&トサジム所属 | 2R 0分51秒 | 日本 正道会館所属 |
ジェロム・レ・バンナ |
TKO パンチ連打 |
武蔵 |
試合開始早々、めずらしくアグレッシブに打ち合う武蔵。バンナも応戦するが、互角の印象。しかし、地力で勝るバンナが武蔵を追い詰めはじめる。プレッシャーをかけ入ってくるバンナの側頭部に武蔵の右ハイが入るが蹴りが浅く惜しくもダメージを与えることができなかった。バンナのプレッシャーに後ろを向いてしまい、パンチでダウンを奪われる武蔵。立ち上がったが試合再開間もなく武蔵のセコンドがタオル投入。バンナがTKO勝ちで2回戦に進んだ。 |
第トーナメント準決勝戦 第1試合 3分3R |
オランダ ボスジム所属 | 1R 1分49秒 | ニュージーランド アメリカンプレゼントボクシングジム所属 |
アーネスト・ホースト |
KO 右足負傷により |
レイ・セフォー |
一回戦でKO負けしているホーストとアーツのローキックでダメージが蓄積しているセフォーの手負い対決。やはり、試合は唐突に終わった。大会前から足首を痛めていたというセフォーはローを打った瞬間ホーストがうまくそれをニーブロックし、蹴ったほうのセフォーが悶絶した。あまりダメージを表に出さない我慢強いセフォーがあれほど痛がるところを見ると、大きな怪我になっていなければと心配される。ホーストのKO勝ち。 |
トーナメント準決勝戦 第2試合 3分3R |
フランス ボーアボエル&トサジム所属 | 3R終了時 | ニュージーランド リバプール・キックボクシングジム所属 |
ジェロム・レ・バンナ |
判定 3−0 |
マーク・ハント |
1勝1敗で迎えた因縁のパワー対決。しかし、1回戦でレコにローをかなり入れられていたハントに対し、バンナは無傷の様子。両者、三度激戦を展開するが、スタイルチェンジし蹴りも大きな武器となったバンナのローキックがハントに効き始め動きが落ちるハント。 |
トーナメント決勝戦 3分3R |
オランダ ボスジム所属 | 3R 1分25秒 | フランス ボーアボエル&トサジム所属 |
アーネスト・ホースト |
KO 右ミドル |
ジェロム・レ・バンナ |
1回戦で負けながら、気が付けば決勝戦まで来ていたホースト。今年こそ“無冠の帝王”の呼び名を返上しようと気合がはいるバンナ。ハントと激闘を展開し疲れているはずだが、気持ちが衰えていない様子のバンナ。 途中、ホーストが目の上から流血し、もしやと心配されたが試合続行。傷が広がる心配もあり、時間が無いとばかりに攻撃を仕掛けるホースト。タイミングよく右ミドルや右ハイを繰り出すホースト。しかし、疲れてはいるものの集中力が続いているバンナがもしや遂に優勝かとも思われた。 しかし、3R中盤、ホーストの走っている右ミドルを腕でブロックし続けたバンナが強烈なミドルを左腕に受け、悶絶。戦意喪失でダウンを取られ、構えるが再度蹴りを受け後ろを向いてしまいKO負け。バンナは左肘関節脱臼の疑い。無冠の帝王に今年も不運が付きまとった。たが、不運といっても脱臼させるほどの鋭いキックをその日3戦目の決勝で繰り出せるホーストの凄さに拍手を送りたい。He is the four-time champion !! |