第9試合 初代PRIDEミドル級王座決定戦 (1R10分、2・3R5分) |
ブラジル シュート・ボクセ・アカデミー |
1R終了時 | 高田道場 |
ヴァンダレイ・シウバ |
TKO (左肩鎖関節脱臼の為ドクターストップ) |
桜庭 和志 |
”グレイシーハンター”桜庭神話は復活しなかった。223日ぶりの前回98秒で破れたシウバへのリベンジマッチにのぞんだ桜庭だったが1R7分過ぎあたりでシウバをフロントチョークの体勢に捕らえたところ、シウバにパワーで体ごと持ち上げられパワースラムのようなかたちで左肩からマットに叩きつけられた。「控え室でペレに教わった」とシウバが言う技だ。激痛に耐えながら1R終了まで意地で戦い抜いたが、1R終了時、コーナーでドクターチェックを受け、ドクターが即座に頭を横に振った。診断は「左肩鎖(けんさ)関節脱きゅう」で全治2・3ヶ月。 序盤戦から果敢に攻める両者。桜庭はシウバのパンチを食らいながらも、シウバの左ローキックにあわせて足首へ低空タックルを決めてテイクダウンに成功する桜庭。ガードポジションを取られてモンゴリアンチョップのフェイントなどを見せる桜庭。しかし、桜庭は攻めきれず、こめかみからは流血している。逆にシウバはガードポジションになりながら、下からアームロックや三角絞めなどを果敢に狙ってくる。そして、桜庭がシウバをフロント・ネックロックの体勢に捕らえたときに先の結果となった。無情にもドクターストップが告げられた後、シウバと抱き合い健闘を称えあった桜庭は自分の肩を指差しマイク。「すいません、あの…きょうはすごく調子が良かったんですけど、皆さんの期待に…」と言ったところで涙で声が詰まる。「・・・応えられずにすいませんでした。もっと練習してきます」言ってリングを降りた。 いつも楽天的でひょうひょうとしている桜庭だが負けず嫌いも人一倍強い。真剣勝負の厳しい世界の中では、アクシデントや運も実力のうち。脱臼については桜庭は運に見放されたとも言えるが、ミドル級は93`未満というリミットの中、84.6kgの桜庭に対しシウバは92.2kgだった。7.6kgの体重差がそのままパワーや勢いに表れたようだ。練習のやり過ぎのせいか桜庭は一時期81kgぐらいまで落ちた体重を今まで嫌っていたウエイトトレーニングなどを行ってパワーと体重を持ちなおしてきた。途中、戻らない体重に開き直り、10kg差の場合軽いほうが選べる4ポイントでの打撃の有無を利用するべきかとの考えもあったが、対するシウバはほぼリミットの体重でパワーとスタミナを作ってきていた。体重増に苦しんだ桜庭と1日6時間の猛練習で自然にパワーをキープしたままリミットぎりぎりに持ってきたシウバ。試合までの調整、コンディショニングなど全てを含めて実力。日本のファンは敗因はどうであれ桜庭がシウバに2連敗をきした事実を受け止めなければならない。しかし、既に桜庭は「すぐにでもシウバと再選しリベンジしたい」とショックはあっても心は折れていない。桜庭のはやい復活を望む。 初代ミドル級王者となったシウバはPRIDEの無敗神話を守った。初代王者は「パンチも多くもらったし、自分が勝てたのは運もあると思う。同じ相手に2度負ける悔しさは解かる。桜庭は本当に強かった。」と敗者・桜庭にエールを送った。獲得した王座について「本当に嬉しい。ずっと防衛していく。防衛の相手はだれでもいい。」と喜びを爆発させていた。 |
第8試合 初代PRIDEヘビー級王座決定戦 (1R10分、2・3R5分) |
ブラジル ブラジリアン・トップ・チーム | 3R終了時 | オランダ ゴールデン・グローリー |
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ |
判定 3-0 |
ヒース・ヒーリング |
”柔術の怪物”ノゲイラがリングスに続き、遂にPRIDEの最強の座も獲得した。相手の”テキサスの暴れ馬”ヒース・ヒーリングもPRIDEで連戦連勝でここまで上がってきた若手ファイターだけに最強の座を争うのにふさわしい相手。しかし、ノゲイラは立ち技・寝技ともにこの暴れ馬を圧倒。ボクサーばりのパンチでヒーリングに連打を浴びせ、低空タックルでテイクダウン、上から関節技で翻弄。幾度と無く決まりそうになるが、ヒーリングが驚異的なスタミナと粘りを見せノゲイラの猛攻をしのぎきり観客を熱狂させる。しかし、ヒーリングは攻撃をしのぐのが精一杯で攻撃できない。3R戦いきり、判定は文句無く3−0でノゲイラ。初代ヘビー級王者になったノゲイラは「チームメイトと同じ位、応援してくれた日本のみなさんに感謝します。」と目を潤ませた。左ヒザ靭帯とスネを痛めたノゲイラだが大晦日の対K-1への出撃も狙う。敗者・ヒーリングは「負けてしまったのは残念だ。ノゲイラは今まで戦った相手の中で最強だった。」と肩を落としていた。 |
第7試合 3分3R |
高田道場 | 延長5R終了時 | クロアチア クロコップ・スクワッド |
高田 延彦 | 引き分け |
ミルコ・クロコップ |
プロレスラーの威厳を取り戻すという高田の思いは達成されなかった。「ここ数年では一番いい状態。」という高田は序盤は果敢に攻めた。片足タックルを狙い、1度はローキックのフェイントからタックルでミルコをテイクダウン。マウントもとったがグランドでの攻防も練習しているミルコにしのがれ数少ないチャンスに極められない高田。軽快に動く高田に「タカダコール」も起き期待させるに十分な出だしだったがその後、高田のタックルはことごとくミルコに交わされ、2Rにはローキックをスネでブロックされた際に足を傷めてしまう高田。足首の甲が腫れており、骨折しているかと思われたが診断は右足踵骨(しょうこつ)骨折で全治2か月。その怪我で高田は作戦変更を余儀なくされ、自ら寝転がって相手をグランドに誘う「イノキ・アリ状態」になる。しかし、ミルコはそんな挑発は無視し、その状態が続きほとんどコンタクトなしに時間が過ぎていく。結局延長5Rまで行ったが変化無く全く両者かみ合わず判定で引き分け。大ブーイングを浴びた。 「はっきり言って負けない戦い方をしてしまった。やはり、ミルコはK-1の選手で乗ってこなかった。結果が出せずに残念」と高田が言えばミルコは「高田は臆病者だ。藤田は本物で、高田は偽者だ。高田とは2度とやらない。」と痛烈批判した。K-1プロデューサーの石井館長は引き分けたミルコに対し、「怖がっていた。もっと行くべき。もっと寝技の練習が必要」と辛口のコメントながらミルコを大晦日の対猪木軍に出すと発表した。 |
第6試合 |
米国 | 1R 1分11秒 | 英国 |
トム・エリクソン | ギブアップ (ギロチンチョーク) |
マット・スケルトン |
トム・エリクソンが完全復活。マット・スケルトンは初のVT戦で洗礼を受けた。アマレスの強豪で相手を圧殺するような体格とパワーで恐れられていたエリクソンだったがPRIDEでは今をときめく”テキサスの暴れ馬”ヒース・ヒーリングに負けてしまい失速。試合からも遠ざかっていたが、マーク・コールマンやゲーリー・グッドリッジらと練習を重ね満を持しての再登場。 スケルトンの打撃を警戒したエリクソンは低いタックルで密着し、フロントスープレックスでこちらも巨体のスケルトンをテイクダウン。そのまま、マウントをとり強引なギロチンチョークでK-1戦士・スケルトンを秒殺料理した。 |
第5試合 |
ブラジル | 1R 2分52秒 | ウクライナ |
マリオ・スペーヒー | ギブアップ (肩固め) |
イゴール・ボブチャンチン |
いまではノゲイラやヒカルド・アローナが所属するブラジリアン・トップチームのリーダーとして知られるスペーヒーだが、彼自身ファイターとして超一流だ。アブダビでは2階級制覇しているし、柔術世界大会も連覇。日本でもVT戦であのリングスの金原も破っている強豪。そのスペーヒーはPRIDE初参戦だが相手はいきなりボブチャンチン。しかし、この”柔術界の超大物”は”北の最終兵器”をもろともせず、あのボブチャンチンにタックルからテイクダウン。上からパンチを打ちながらポジションを調整、肩固めをがっちりときめて流血するボブチャンチンからタップを奪った。来日前日のスパーリングで相手の歯が当たって裂傷をおったボブチャンチンはそこからの流血でドクターストップがかかるのではと気を取られ、肩固めを極められてしまったと言っているが、なんとボブチャンチンにとってPRIDEでのギブアップ負けは初めて。恐るべし、スペーヒー。以前にインタビューされた時にスペーヒーが誰と戦いたいかと聞かれ、「強いて言えばホイス・グレイシーに引導を渡したい。」という爆弾発言をしており、強豪ブラジリアン柔術家同士のVT戦が実現すればある意味夢の対決となろう。 |
第4試合 |
オランダ | 1R 2分18秒 | 怪獣王国 |
セーム・シュルト | KO (左正拳突き) |
佐竹 雅昭 |
元・大道塾の王者・シュルトと元・正道会館の王者・佐竹という元・空手王者同士の対決は211センチ・122キロという規格外の巨人・シュルトに佐竹が打撃で真っ向勝負を挑み玉砕した。シュルトのひざ蹴りが佐竹の金的に誤爆し、佐竹の動きが落ちるという不運もあったが、それでも佐竹は積極的に攻めて喝采をうける。しかし、シュルトの右ローキック、左フックとコーナーに追い詰め、前蹴りをどてっぱらぶち込み左正拳突きを2連発で顔面に極め、佐竹は崩れ落ちた。 |
第3試合 |
米国 | 3R終了時 | ブラジル |
ダン・ヘンダーソン | 判定 2-1 |
ムリーロ・ニンジャ |
高度なレスリングテクニックとパンチでリングスのKOKトーナメントを制したことのあるヘンダーソン。シウバx2やペレたちにシュートボクセでもまれ急成長する若手ムリーロの対戦は微妙な判定でヘンダーソンが勝利したがシュートボクセ陣営は判定に怒りをあらわにした。1R・2Rとなんとムリーロに上になられてしまうヘンダーソン。横四方からヒザやパンチを打つムリーロ。ヘンダーソンが劣勢と思われたが3Rにロープ際での攻防でヘンダーソンのフックがヒット。そこからヘンダーソンがラッシュし、倒せなかったが判定に大きく影響したようでヘンダーソンが勝ち星を拾った。弟子のリベンジでペレがヘンダーソンに対戦を迫るが、ヘンダーソンの眼中にはなく「桜庭と戦いたい」と次のターゲットにグレイシーハンターを挙げた。 |
第2試合 |
米国 | 1R 1分52秒 | バトラーツ |
クイントン・ジャクソン | KO |
石川 雄規 |
バトラーツの石川社長が同志のアレキサンダー大塚を破ってPRIDEの再登場の切符を手に入れたジャクソンへのリベンジを試みたこの一戦。ファーストコンタクトから真っ向勝負で殴り合いにでた石川だったがジャクソンがパワーで圧倒。膝蹴りから右ストレート。そして最後はジャクソンの左ストレートを食らいヒザから崩れ落ちた石川がKO負け。石川は「絶対さがらず殴り勝ちたかった。納得するまで戦う。」と今後の決意も語った。 |
第1試合 |
ブラジル | 3R終了時 | 新日本プロレス |
ヘンゾ・グレイシー | 判定 3-0 |
小原 道由 |
新日本プロレスのT2000のメンバーのひとり、小原がグレイシー狩りに挑んだが桜庭や石澤のようにはいかなかった。柔道の名門・国士舘大の柔道部キャプテンを勤めた柔道家でもあり、今回はパンクラスの寝技プロ軍団のGRABAKAに隠密で練習に行っていたと言われている小原。体重も111kgほどあったのを15kgも落として96kgにして、金髪をそりあげスキンヘッドで気合十分のPRIDE初参戦だったが、小原のガードが甘く、柔術だけでなくパンチにも長けているヘンゾの連打を顔面に受けてしまう。コーナーやロープを背にしてディフェンスする小原は何もできず、消極過ぎてレフェリーに2度もイエローカードをくらい完全な判定負け。「死にきれなかった」小原は再挑戦を誓い、新日本プロレスの藤波社長も小原のPRIDE再挑戦を容認している。しかし、勝ったヘンゾは自分の実弟を破った同じ新日本所属のケンドー・カシン(石澤)にリベンジしたいと意思を表明した。 |