K-1
12.7 K-1 WORLD GP 決勝 サップ、再度ホースト倒すも負傷リタイヤ。ホースト、史上初四度目の優勝!


やはり、K-1には魔物が住んでいた。この日、東京ドームは7万4500人(主催者発表)というK-1の観客動員数の新記録を樹立する大観衆で埋め尽くされた。その大観衆が見守る中、1回戦から激闘が繰り広げられ、波乱が続出した。

注目のボブ・サップがなんと1回戦でリベンジに燃えるアーネスト・ホーストを返り討ちにし、辛勝したが右手中指骨折の疑いでリタイヤ。規定によりホーストが負けたにもかかわらず2回戦に進出。ここから3度王者に輝いた実力者の本領発揮だ。大本命だった今大会絶好調のジェロム・レ・バンナの左腕をキックで粉砕し、K-1史上初の四度目の優勝を果たした。

しかし、今回ホーストは1回戦で敗退しており、観客としては今ひとつ説得力がなかったとも言える。だが、1回戦でスタンディングダウンでレフェリーストップになった選手がそれから2戦し、共にKOで優勝したことを考えるとホーストの実力と精神力はさすがと言えよう。ホーストは間違いなく強い王者だ。そして、その王者を実際に1回戦でKOしているサップは間違いなく今後も台風の目となる。




トーナメント1回戦 第1試合 3分3R
ニュージーランド アメリカンプレゼントボクシングジム所属
3R終了時 オランダ メジロジム所属
レイ・セフォー
判定

2−1
ピーター・アーツ

身長差のある両者。今大会から首相撲からのひざ蹴り連打が禁止(1発はOK)になり、首相撲からのひざ蹴りが得意なアーツにとっては痛いルール変更だ。セフォーも気合が入っていてローやブーメランフックでアーツに襲い掛かる。両者1Rからエンジン全開だ。

しかし、アーツ得意の思いローキックがセフォーを捕らえ始める。セフォーもノーガード戦法などで流れを変えようとするが、ローが効いているようで3Rは動けなくなってきていた。しかし、判定に持ち込み、判定は2−1でセフォー。セフォーのアグレッシブさが評価されたのか、アーツは判定に不満を表した。



トーナメント1回戦 第2試合 3分3R
米国 チーム・ビースト所属
2R 2分53秒 オランダ ボスジム所属
ボブ・サップ
KO
スタンディング・ダウン
アーネスト・ホースト

今、世間が注目するサップが登場だ。対するホーストは3タイムチャンピオンの名にかけてリベンジに臨んだ。凄まじい激闘。試合開始早々、前回同様前進し襲い掛かるサップ。しかし、今回のホーストは慌てない。足を使い、時に押し返し、ピンポイントのローとレバー打ちを繰り出すホースト。サップの顔面にパンチを極めていくホースト。それでも、倒れないサップ。しかし、的確なホーストのボディーパンチがサップのレバーを捕らえる。

遂に生涯初のダウンを喫するサップ。会場が大歓声に包まれる。立ち上がり大きく肩で息をするサップ。チャンスだが深追いしないホースト。もう、ホーストのKO勝利は時間の問題と思われた。が、しかし、サップが又怒涛の攻めをみせる。そして、遂にサップの右フックがホーストを捕らえダウン。サップが最後の力を振り絞りラッシュ。ホーストをコーナーに追い詰めて乱打し、レフェリーがスタンディング・ダウンをとって、2ノックダウンシステムにより、サップが勝利を収めた。

だが、試合後、サップは右手中指に骨折の疑いがあり、拳を握れない状態でドクターストップ。K-1の規定により、敗者のホーストが2回戦に進むこととなった。

サップ恐るべし。ただのお茶の間の人気者ではない。そのポテンシャルの高さと精神力と頭脳、そしてプロとしてのサービス精神の旺盛さでサップはK-1、総合格闘技、プロレスを圧巻していくであろう。



トーナメント1回戦 第3試合 3分3R
ニュージーランド リバプール・キックボクシングジム所属
3R 1分16秒 ドイツ ゴールデン・グローリー所属
マーク・ハント
KO

左ストレート
ステファン・レコ

非常に動きの良いレコ。今回は体重を絞り、よく練習してきて切れ味のあるハント。序盤から激しくぶつかり合う両者だがお互い調子が良く、決定打を極めさせない。しかし、一発の破壊力に勝るハントがレコの右ストレートにクロスカウンターでフック気味の左ストレートをレコの顔面に叩き込み、ダウンを奪う。ハントの強烈なパンチがしかもカウンターで入れられたレコは立ち上がるが、ひざに力が入らず KO負け。ワンパンチでハントが仕留めた。





トーナメント1回戦 第4試合 3分3R
フランス ボーアボエル&トサジム所属 2R 0分51秒 日本 正道会館所属
ジェロム・レ・バンナ
TKO

パンチ連打
武蔵

試合開始早々、めずらしくアグレッシブに打ち合う武蔵。バンナも応戦するが、互角の印象。しかし、地力で勝るバンナが武蔵を追い詰めはじめる。プレッシャーをかけ入ってくるバンナの側頭部に武蔵の右ハイが入るが蹴りが浅く惜しくもダメージを与えることができなかった。バンナのプレッシャーに後ろを向いてしまい、パンチでダウンを奪われる武蔵。立ち上がったが試合再開間もなく武蔵のセコンドがタオル投入。バンナがTKO勝ちで2回戦に進んだ。



第トーナメント準決勝戦 第1試合 3分3R
オランダ ボスジム所属 1R 1分49秒 ニュージーランド アメリカンプレゼントボクシングジム所属
アーネスト・ホースト
KO

右足負傷により
レイ・セフォー

一回戦でKO負けしているホーストとアーツのローキックでダメージが蓄積しているセフォーの手負い対決。やはり、試合は唐突に終わった。大会前から足首を痛めていたというセフォーはローを打った瞬間ホーストがうまくそれをニーブロックし、蹴ったほうのセフォーが悶絶した。あまりダメージを表に出さない我慢強いセフォーがあれほど痛がるところを見ると、大きな怪我になっていなければと心配される。ホーストのKO勝ち。



トーナメント準決勝戦 第2試合 3分3R
フランス ボーアボエル&トサジム所属 3R終了時 ニュージーランド リバプール・キックボクシングジム所属
ジェロム・レ・バンナ
判定

3−0
マーク・ハント

1勝1敗で迎えた因縁のパワー対決。しかし、1回戦でレコにローをかなり入れられていたハントに対し、バンナは無傷の様子。両者、三度激戦を展開するが、スタイルチェンジし蹴りも大きな武器となったバンナのローキックがハントに効き始め動きが落ちるハント。

2R中盤、バンナの強烈なローがハントを捕らえて、ハントはローキックによる生涯初のダウンを喫した。しかし、ここからがハントの凄いところ。ローやパンチが効いているはずなのにそこから倒れないハント。結局、判定までもつれ込み、バンナが激闘を制した。



トーナメント決勝戦 3分3R
オランダ ボスジム所属 3R 1分25秒 フランス ボーアボエル&トサジム所属
アーネスト・ホースト
KO

右ミドル 
ジェロム・レ・バンナ

1回戦で負けながら、気が付けば決勝戦まで来ていたホースト。今年こそ“無冠の帝王”の呼び名を返上しようと気合がはいるバンナ。ハントと激闘を展開し疲れているはずだが、気持ちが衰えていない様子のバンナ。

途中、ホーストが目の上から流血し、もしやと心配されたが試合続行。傷が広がる心配もあり、時間が無いとばかりに攻撃を仕掛けるホースト。タイミングよく右ミドルや右ハイを繰り出すホースト。しかし、疲れてはいるものの集中力が続いているバンナがもしや遂に優勝かとも思われた。

しかし、3R中盤、ホーストの走っている右ミドルを腕でブロックし続けたバンナが強烈なミドルを左腕に受け、悶絶。戦意喪失でダウンを取られ、構えるが再度蹴りを受け後ろを向いてしまいKO負け。バンナは左肘関節脱臼の疑い。無冠の帝王に今年も不運が付きまとった。たが、不運といっても脱臼させるほどの鋭いキックをその日3戦目の決勝で繰り出せるホーストの凄さに拍手を送りたい。He is the four-time champion !!