K-1プロデューサーの石井和義・正道会館館長とPRIDEプロデューサーのアントニオ猪木会長が大晦日の猪木祭2でのK-1軍vs猪木軍全面対抗戦の出場者及び対抗戦8試合のうち6カードを発表した。
両軍が一試合ごとに相互に対戦選手を指名するというかたちで発表されたカードだが、両プロデューサーの表情は対照的だった。「うちは出し惜しみしませんよ」と余裕の表情の石井館長に対し猪木は苦渋の表情だ。それもそのはず、K-1サイドは「小川狩りをする」と急遽参戦を申し入れてきた”K-1他流試合大将格”のジェロム・レ・バンナをはじめ”豪腕”マイク・ベルナルド、”南海の黒豹”レイ・セフォーなどトップのスター選手ばかリ。参戦が噂された今年のGP王者マーク・ハントは大腿部に受けたローキックのダメージの回復が思わしくなく今回は見送り。何度もGP王者になったことがあるアーネスト・ホーストやピーター・アーツの両トップ選手も共に足の甲をひどく痛めており不参加となったがその3人を抜いても豪華な面子だ。しかもこのK-1軍vs猪木軍対抗戦の火付け役となったジェロム・レ・バンナが急遽参戦を決め、一番話題を集め皆が観たがるであろう「バンナvs小川直也」というドリームマッチ実現に向け全力で準備したK-1軍に対し、怪我により大将格の一人である藤田和之が休場、
もう一人の大将格である小川が沈黙を続け大会まで2週間をきった今でも出場を保留にしている猪木軍の責任者の猪木は「外国人でよければすぐにでもメンバーを決定できるが、もう少し時間を下さい。」というのがやっとだった。
確かに猪木軍には”PRIDEヘビー級王者”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとノゲイラの師匠である”柔術界最後の重鎮”マリオ・スペーヒー、”前PRIDE GP王者”マーク・コールマンと総合格闘技界の凄い面子が名を連ねているので外国人選手であればすぐ枠は埋まるのだがやはりそこはさすがアントニオ猪木。プロデューサーとして話題性、興行面、視聴率を考えると小川直也をはじめ日本人を使おうと全力を尽くすのは当然といえる。K-1サイドは正道会館の子安以外は皆外国人選手だが外国人同士の試合でも地上波放送のゴールデンタイムを飾れるほど認知度を上げており知名度という点では総合格闘技の外国人選手をかなり引き離していると言えよう。または、プロレスを愛する猪木のこと、猪木軍のメンバーは純粋な総合格闘家ではなく元、現役、パートタイムにかかわらずプロレスラーで揃えたいと考えているのではないか。
格闘技ファンにとってはバンナとPRIDE王者のノゲイラの一騎打ちなどは非常に興味を引く大一番になるが大晦日の「紅白歌合戦」を敵に回して視聴率合戦をするにはプロレスファンをはじめ一般の人にも知名度がある小川直也の存在は外せない。バンナという申し分の無い対戦相手を提示された今、ファンやプロレス・格闘技業界の為にも、そして師匠猪木の為にも小川は即決すべきではないだろうか。
K-1サイドには元UFC王者モーリス・スミス、元パンクラス柳澤龍志、ブラジルの総合格闘家ブラガ、”未知の巨人”ボブ・サップなど一般への知名度は別として優秀な人材が多く「うちは9対9でも10対10でもいい」と息巻くK-1軍に対し、猪木軍にとって新日本プロレスの永田裕志と石澤常光の参戦は本当に天の助けとなったに違いない。これはもうK-1対総合格闘技というよりもK-1対プロレスの様相を呈してきた。それを察知したためか否か、石井館長は選手枠あと2名を埋めきれていない猪木軍の現状に対し「プロレス大賞MVPの武藤でも、蝶野、藤波、長州選手でもいいですよ」と新日本プロレスをも挑発してみせた。戦前の駆け引きはK-1軍が圧勝といったところか。
12.31 猪木祭り2 さいたまスーパーアリーナ大会対戦カード 猪木軍 K-1軍 永田 裕志(33歳、新日本) 対 ミルコ・クロコップ(27歳、クロアチア) 高田 延彦(39歳、高田道場) 対 サム・グレコ(34歳、オーストラリア) ドン・フライ(36歳、米 国) 対 シリル・アビディ(25歳、フランス) ゲーリー・グッドリッジ 対 レイ・セフォー (35歳、トリニダードトバゴ) (30歳、ニュージーランド) 安田 忠夫(38歳、フリー) 対 レネ・ローゼ(32歳、オランダ) 石沢 常光(33歳、新日本) 対 子安 慎悟(27歳、正道会館) 未定 対 マイク・ベルナルド(32歳、南アフリカ) 未定 対 ジェロム・レ・バンナ(28歳、フランス)